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平成16年度「文化庁日本語教育大会」参加リポート
8月3日−4日 於:昭和女子大学

大平(おおひら)悦子
1.基調講演「年少者への日本語習得支援について異文化間教育の視点から考える」   
  講演者:佐藤郡衛(東京学芸大学国際教育センター教授)

佐藤先生は異文化間教育学が専門で、異文化間移動のもとで生活し、学び、成長する子どもがその移動の過程で経験する摩擦、適応過程でのストラテジーをとらえることに関心がおありとのことでした。この佐藤先生も協力者となり、文部科学省が、外国人児童生徒等の速やかな日本語習得を促すと共に、効率的かつ効果的な日本語指導の取り組みを支援する目的で、日本語の初期指導から教科指導につながる段階の学校教育におけるカリキュラムの開発事業に取り組んでいるということを知りました。日本語指導と教科指導を切り離さず統合的にとらえる、JSL(Japanese as a second language)カリキュラムというものです。現在、小学校編が最終報告段階、中学校編は作成中です。

2.事例発表「年少者への日本語習得支援について −私の実体験からー」
  講演者:ペラエス トミダ エマニュエル(埼玉大学経済学部3年)  

1993年、10歳の時に親の出稼ぎのために家族と共にペルーから来日したエマニュエルさん(日系3世)。5年ほどの日本滞在予定だったため、来日時は日本に対する興味も特別なかった。3ヶ月の日本語自主勉強期間中、ひらがな、カタカナは覚えて公立小学校に入ったものの、生きた日本語が分からず学校が嫌になってしまった。しばらくつらい日々を送ったけれども、両親から「ペルーへの帰国はずっと先になる。」と告げられたことをきっかけに、日本で教育を受けることを決意。日本語学習へのモチベーションがあがり、同学年の日本人の学力に追いつこうと必死に勉強を続けた。「その甲斐あって中学1年になると学年で3位の成績を修めましたよ!」と笑顔でガッツポーズをして見せる彼に、会場から拍手が沸きました。  

自分が今ここまで来られたのは、両親が教育に熱心だったことと、的確なアドバイスをくれたおかげで、本当に感謝しているとのことでした。出稼ぎ目的で来日した外国人は、子どもの教育について無関心な場合が多く、滞在が長期化してしまっても子どもの居場所がない、という悲劇が生まれることも多いようです。エマニュエルさんの場合は、彼自身の前向きな考え方や向上心、たゆみない努力の成すところも大きく、年少者の日本語習得としては大変幸せな事例だろうと思いました。  

10歳から中1までの2,3年で、どんなふうに日本語を自分のものにしていったのか、その過程を詳しく聴かせてもらえればよかったなぁ、と思い、その点が少し残念でした。

3.パネルディスカッション 「地域における年少者への日本語習得支援について考える」  

水谷修さんの司会で、日本語教育に関連する専門分野をお持ちの5人の協議者によるお話をうかがいました。抽象的で難しい話が多かったのですが、その中で、外国人集住都市また外国人児童生徒の教育特区として知られている群馬県太田市の企画部副部長・国際交流協会事務局長を務める北澤潤一さんは、行政の立場で太田市での取り組みについて紹介してくれました。  

1990年の入管法の改正により、富士重工の大きな工場がある太田市に日系ブラジル人労働者が多くなった。初めは単身で来日した人たちが、生活の安定のため家族を呼び寄せるようになり、大人だけでなく子どもたちへの日本語支援や就学の問題が出てきた。1994年、文化庁国語科より日本語教育モデル地域の指定を受け、日本語ボランティアグループ「あゆみの会」設立。以後、他民族と共生できるまちづくりを推進している。  

北澤さんいわく、太田市の市長は改善のためなら「朝令暮改」ならぬ「朝令朝改」すらしてしまうほどの方らしいので、新しいことには腰の重い行政が多い中、良く言えば、その臨機応変で柔軟な市政運営が功を奏しているのだろうと思いました。  

また、(財)波多野ファミリースクール主管の大蔵守久さんは実際に子どもを相手に日本語を教える時の具体的な方法を教えてくださり(臨場感をもたせる絵カードの使い方、単語や漢字を覚えさせる手がかりなど)なるほど・・・と思いました。  

最後に、先ほど講演をしてくれたエマニュエルさんが、パネルディスカッションを聴いての感想を求められました。やや困ったように間をおいた後、「いろいろ先生たちの専門的な研究とかも大事だと思いますが、実際に日本に住んでいる外国人の話をもっと聞いたほうがいいんじゃないかな・・・。」との言葉に、会場から大爆笑と拍手喝さいが巻き起こったところで終了となりました。

4.地域日本語教育シンポジウム テーマ:外国人在住者の地域参加と共生社会の在り方  

来日してからの年数が長く、すでに地域住民としてしっかり根を下ろし、市民として積極的に活動している3人の方がパネリストでした。宮城県気仙沼市の市役所内にある「小さな大使館」で館長を務める、クウェート生まれのアブドラ・ムザファーさん。横浜市教育委員会で市立小中学校に在籍する外国出身の児童生徒の教育に携わっている、ブラジル生まれのヤマダ・キヨコ・ベッティさん。15歳の時、ベトナムからボートピープルとして来日、大学で教員免許を取得し、現在、兵庫県の高校で「数学・情報」を担当している平川孝美さん(ベトナム名:ヒュウ)。  

すでにそれぞれの地域で「人づくり」「町づくり」を手がけていらっしゃるこの3人の方々のお話は、どこの国で生まれた人だというようなことを意識させず、それぞれが一人の人間としての経験や思いを語ってくださり、大変引き込まれました。  

私は特に、気仙沼市の「小さな大使館」の話に興味を持ちました。簡単に紹介します。1984年、アブドラさんが日本人女性と結婚して気仙沼に来た当時、6万5千人の市民のうち外国人はたったの3人で、日本語は全く分からずかなり苦労。市内で英会話を教えたり、通訳をしたりしていたところ、年々外国人花嫁が増加しさまざまな問題が出てきたことに気づく。ある時、市長と直接話をする機会があり、市内に住む外国人が困った時に気軽に立ち寄れる場所の必要性を話す。しばらく後にこれが実現し、4年前に市の運営で始まった。

「小さな大使館」では、生活相談、月4回の日本語教室開催の他、土地柄、夫が漁師で家を空けることが多く、年寄りと暮らす時間が長くなってしまう外国人花嫁のために、各国の言葉で生活様式や風習、町の活動の様子などを盛り込んだ小新聞を発行。祭りの時には「各国パレード」や「インターナショナル屋台」をやってもらい、市民と相互理解を図れるように努力している。これからの課題として、みんなにパソコンを使えるようになってもらい、オリジナルホームページやネットワークを作りたい。  

日本語支援ボランティアが多くを占める会場の参加者からは、「小さな大使館」設立にどんなふうに行政が動いてくれたのか、といった質問が多く、どこの地域でも外国人の日本語や生活の支援がボランティアの力で行われており、支援対策がなかなか進まない行政に対するもどかしさを多くの人が感じているように思いました。「小さな大使館」では市のレギュラースタッフが7人、ボランティアは80人ほどだそうです。アブドラさんの、「自分の話を市長が真剣に受け止めてくれたのがラッキーだった。以前にはいくつかのボランティア組織があったが、継続した運営が難しく、やはり行政から100%フォローがあって、安定した活動が継続していく。」という言葉が印象的でした。

5.感想  

今年の大会のテーマは「地域における年少者への日本語習得支援について考える」でしたが、2日目の午後も「各地域の日本語学習支援活動」について紹介していた分科会に参加したので、実際のところ、あまり年少者に焦点をおいた研修内容ではありませんでした。しかし、私自身にとっては、夢っくすを通して参加させていただいたこれまでの研修の総括的な機会となり、大変有意義でした。  

日本語支援をするということは、単に「言葉を教える」ということではなく、人との付き合いをスムーズにしたい、うまくコミュニケーションをとりたい、と思っている人のお手伝いをすることであり、そのための1つの方法が日本語なのです。日本語支援をしていく過程で、外国人を日本の生活に適応させるだけでなく、こちらもさまざまなことに気付き、学び、変わっていく。そういう協働作業を通して、お互いに居心地のいい社会を作っていくという楽しい作業だと思います。  

文化庁が、ここ数年の各地域における日本語学習支援活動の歩みと現状をまとめて、本にしました。具体的な取り組み事例や方法が紹介されています。夢っくすサロンの書架に1冊おいてありますので、ぜひ、会員の皆さんに目を通していただきたいと思います。  

最後に、昨年に引き続き夢っくすからこの研修に参加させていただいたことに感謝します。東京まで足を運ぶのは大変ですが、とても良い刺激になる機会ですので、できるだけ多くの日本語交流員の皆さんに参加していただきたいです。

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