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「国際大学における新たな留学生支援の試み−夢っくすの事例」
掲載雑誌:文部科学省月刊誌『大学と学生』2003年12月号 特集:留学生支援

国際大学学生センター事務室  武田 里子
1.はじめに
今年5月1日現在の留学生総数は109,508人となり、「留学生10万人計画」 (1)の数値目標が、計画発表から20年を経てようやく達成された。そこで新たな留学生政策のあり方が検討されている。中央教育審議会は、今年10月「新たな留学生政策の展開について」とする中間報告を発表し、また、総務省は留学生受入れ推進施策に関する政策評価に入っている。

中央教育審議会の中間報告では、これまでの外国人留学生の受入れを主体とした留学生政策に加えて、日本人学生の海外留学支援に言及し、双方向の留学生政策に転換するとした点が目新しい。また、同報告書中の「留学生と地域社会との交流」では、民間団体の活動支援に言及している。

本稿では、中間報告で指摘する民間団体の活動支援を先取りし、大学が設立時にイニシアティブを発揮した「うおぬま国際交流協会(UONUMA Association for Multicultural Exchange: UMEX通称「夢っくす」(2) )」の事例から、留学生交流の新たな可能性について紹介したい。

筆者の勤務する国際大学は1982年に、教育言語を英語とする日本初の大学院大学として開学し、現在2つの研究科(国際関係学研究科と国際経営学研究科)で、4つのプログラム(国際関係学、国際開発学、MBA(3) (国際経営学)、Eビジネス)を提供している。正規生260名のうち約8割が51か国・地域からの留学生であることが、ユニークな教育環境を作り出している。

2.夢っくす設立の経過
(1)国際大学の留学生像  
今年3月、筆者の手元に、東京大学教養学部相関社会科学研究室から『新潟県大和町の暮らしとまちづくりに関する学術調査』(4) という報告書が届いた。この報告書の第一部11項「大和町の人々と国際大学の留学生との交流」(5) は、神子島健氏が2000年11月に国際大学の留学生のうち19名(11か国)の面接調査を行い執筆したものである。同氏の報告書から、国際大学の留学生像と当時の地域交流の状況を次のように要約することができる。

「国際大学で学ぶ留学生は日本を専門的に研究するつもりはないが、日本に興味がある。しかし、現実は日本人との交流の場が少なく満足していない。交流を阻害している要因は、言葉の壁と橋渡し役の不在と考えられる。」

国際大学の留学生は日本に興味があり、回答者の8割以上が今以上に地域の人々との交流を望んでいる。一方、大和町の町民も回答者の6割以上が留学生との交流に肯定的な意見をもっている。しかし、双方に交流の方向性のズレがあり、また、交流の場そのものが少ないことから、十分な交流が行われていない。また、「意欲はあっても自分からそういう機会を作っていこうとまでは思わない、思ってもそれを実行するのは難しく、交流があっても継続できない」。神子島氏は、日本語と英語という「言葉の壁」を抱える留学生と地域住民との交流を成立させるためには「橋渡し役」が必要であり、「誰がどのような交流を望んでいるかという情報を把握する人、または組織が必要」だと指摘し、報告書を結んだ。

(2)夢っくすの誕生  
神子島氏が、留学生の面接調査を実施していた頃、筆者は、留学生の生活支援の現場で、学内で支援できることの限界と、英語プログラムで学ぶ留学生の日本留学の意味について疑問を感じはじめていた。国際大学では、教育言語を英語とし、原則、全寮制をとっているため、日本語ができなくても学内で困ることはない。また、留学生の生活支援体制はかなり充実していると自負している。これは修了後、日本国内で就職したり、他大学に進学した修了生の「国際大学は日本の大学とは違うということを教えてほしかった」ということばが裏づけているように思う。

しかし、留学生の日本の文化社会を学びたいという期待に、学内でどれほど応えられているのかと問えば、非常に限られていたといわざるを得ない。相当数の留学生がクラスメートや学内関係者以外の日本人を知らないまま大和町を去っていく。

筆者は、関係者と上記のような問題意識を共有し、英語プログラムで学ぶ留学生が日本の文化社会を学ぶ仕組みとして、学内に地域住民との交流の場を確保したいと考えた。それは大学や留学生が一方的に便益を受けるものでは長続きしない。大学を地域リソースと位置づける行政、留学生との交流を期待している地域住民と地域住民との交流を望んでいる留学生、そして学内でできる支援の限界を自覚する大学関係者、それぞれが有益と感じられるものでなければならない。そうした基本的な方向性の確認に基づいて、夢っくすは留学生と地域をつなぐ「場」として構想された。それは、東京大学の研究グループが指摘した「橋渡し役」作りの具体化でもあった。

構想実現に必要な財源は、(財)日本国際教育協会が募集した「留学生地域交流支援事業」の助成金によって確保した(6) 。国際大学からは、学内に活動拠点(通称、「夢っくすサロン」)の無償提供を受け、地域住民と学内の教職員・学生との連絡窓口を学生センター事務室が担当することについて許可を得た。この2点が夢っくすの組織作りに大きな力を発揮した。活動開始直後は、必ずしも全学的な理解があったわけではない。新しい事業を開始するには、全学的なコンセンサスが必要だが、必要性を感じた者がまず声を上げ、第一歩を踏み出し、並行してコンセンサスを作り上げていくという手法もあるようだ。

筆者は、2002年7月JAFSA(7) 夏期研究集会で(財)武蔵野市国際交流協会の杉澤経子氏と分科会「留学生支援と地域の内なる国際化との接点を探る」を担当した。同分科会では、留学生支援を充実させるために地域連携の必要性は言い尽くされている(8)が、具体的な連携が進展していないという問題意識から出発し、その打開策を検討した。同分科会では、留学生関係者は、留学生政策だけでなく、広く日本社会の多文化化の進展や地域の国際化政策から、留学生支援を再考する必要があること。また、地域の側にある、「大学関係者は地域に出てこない」という不満を解消し、地域連携を成立させるためには、大学側の意識改革が必要だと結論づけた。夢っくすはこの分科会が指摘した、従来の地域交流をめぐる大学側の対応の限界を超えようとする、具体的な試みと位置づけることができる。

(3)「同好会」からの脱皮
筆者は今年8月、「第1回国際交流協力実践者全国会議」(9) に参加した。全国的にみても、留学生交流を主体とし、100名を超える会員を抱えて、イベント型ではない日常活動を行っている団体は夢っくすの他に見当らなかった。

会員数が会員募集開始からわずか半年で100名を超えたのは、地域の中に潜在的に留学生との交流を希望する人たちが多数いたことの証明となった。一方、会員数の急激な増加は、夢っくすを全員顔見知りの「同好会」的組織から、地域の国際化など「社会的役割」を意識したNPO的志向を持った組織への脱却を迫ることになった。個人的な交流要求を満たすことと、そのための組織づくりや組織運営とは全く次元の異なる挑戦である。

ボランティア組織とは何か、ボランティア活動とは何か。この問いに対する回答はいまだ模索中だが、100名を超える会員を抱える組織にとって「全員で行動する」活動形態は物理的に成立しない。「できるヒトが、できるコトを、できるトキにする」緩やかなネットワーク型組織が、常設の事務局をもたずにいかに成立しうるのか。これが、夢っくすが抱える最大の課題である。

今年(2003年)6月の修了式でマレーシア人の修了生総代が、日本の文化社会に触れる機会を提供してくれた夢っくすに感謝すると謝辞を述べてくれた。これは、1年半の夢っくす活動の一つの到達点を象徴するものであり、関係者に夢っくすの存在を確認させる嬉しい出来事であった。

3.夢っくす活動の多様な展開

夢っくすの会員数は131名(2003年10月現在)である。年度毎の登録制をとっているため、通算した会員登録者数は180名を超えた。会員構成は、年齢的には20代前半から70代までと幅広く、職業は学生から主婦、公務員、会社員、自営業と多様である。また、一般的に女性中心になりがちな国際交流団体の中にあって、夢っくすでは男性会員が4割近くを占めている。この会員の多様性が夢っくすの多様な活動を支え、そして留学生の日本理解をバランスの良いものにしている。

夢っくすは6つの部会(10)を中心に活動しているが、継続的かつ定期的な交流を担っているのが、週2回のサロン活動と日本語プログラムである。日本語プログラムには、教室形式と1対1の会話パートナー・プログラムがあり、日本語での交流を主体に、学習者が生活上必要とする日本語学習を支援している。

もちろん、国際大学では正規科目として日本語プログラムを提供している。しかし、英語の力が弱い学生や提供されるクラスのレベルが合わない学生は、正規科目の日本語を受講できないことがある。夢っくすは、そうした学生たちや留学生家族、地域に暮らす外国人が日本語を学ぶ場となっている。将来的には、国際大学と夢っくすの日本語プログラムの補完関係がさらに発展し、相乗効果が生まれることが期待される。

夢っくすは、サロンでの会話や日本語交流の現場で発せられる学習者の声をもとに、バス旅行や稲刈りツアー、八海山登山、山菜料理や手巻き寿司作り、留学生による母国紹介と会員による日本の伝統文化紹介、華道や茶道、習字教室の開催、日本人学生のジャパニーズ・ナイトへの支援など、多様な活動を展開している。また、サロンでの母国紹介を拡大して、地域向け異文化理解講座として取り組んだ「インドネシア講座」では、留学生を通じて駐日インドネシア大使館との協力関係もできた。

さらに、夢っくすの発足によって、留学生家族との接点が生まれたことが、留学生支援の観点からみると大きな前進といえる。日本語交流を通じて家族ぐるみの交流へと発展した様子は、6月末から7月初旬にかけて、浦佐駅で帰国する修了生家族を日本語交流員家族が見送るという光景から実感させられた。  

高齢者のデイケア・センターに勤務している日本語交流員は、会話パートナーの留学生と高齢者との交流会を始めた。留学生がもらった紙細工を「大切にします」と言うと、「自分は外国へ行ったことがないが、自分の作ったものが外国へ行けるんだね」と、お年寄りが嬉しそうに話したという心温まるエピソードが寄せられている。  

7月には、新潟県車椅子の会から「留学生と交流できないだろうか」と相談を受け、ボーリングとバーベキューによる交流会を行った。参加した留学生は、交流会に参加するだけで喜んでもらえることに戸惑いを見せながらも、日本における障害者の活動や社会的な支援体制について、しっかり観察することも忘れていなかった。

活動開始から1年半が経過し、留学生と夢っくす会員との関係が、夢っくす活動を成立させるためのパートナーシップへと変化の兆しを見せていることが嬉しい。今年9月の新入生歓迎会では、2年生の留学生たちが夢っくす会員とともにホスト役を担い、また、日本語の力をつけた留学生たちが日本人学生とともに、夢っくす会員のコミュニケーション・サポーターとして活躍する姿が印象的だった。

4.展望

今後の展望について、(1)助成金終了後の夢っくす活動、(2)国際大学との関係、(3)行政との関係、という3点から考えてみたい。

(1)については、国際大学から活動拠点の支援があれば、人的にも財政的にも基礎的な夢っくす活動を維持できる見通しである。先月行われた国際大学と夢っくすとの懇談会では、山澤逸平学長から大学はこれまで以上に地域交流に積極的に取り組むとの方針が表明された。従って、夢っくすの今後は、ボランティア組織の定着の成否にあると思われる。ボランティアは、基本的に趣味で、好きだからやるものであり、何より楽しくなければ続かない。しかし、そのボランティア組織の活動を維持するためには、活動主体がボランティアであるからこそ、マネジメントやコーディネートが必要となる。今後、夢っくすをどのように維持していくのか、いけるのか。この点については、まだ不確定要素が大きい。

(2)については、夢っくす活動と大学の教育プログラムが連携することによって、新たな展開が期待される。国際大学は人口1万4千人の農村に立地している。この立地条件は一面マイナス要因であるが、プラスに転化できる可能性を持つ。例えば、国際開発学を学ぶ環境としては、日本の地方が抱える問題と途上国の開発問題を学ぶ場として利点になる可能性がある。教育効果の副次的な側面で地域が機能することができたら、日本で学ぶことの意味を付加できるのではないか。そうした可能性を拓くためにも、地域社会との結びつきを一層強化する必要がある。大学として、地域交流をこれまでの留学生支援という枠組みを超えて、教育プログラムを支える教育環境整備の視点から議論できる余地があるように思う。

(3)については、魚沼地域にも外国人住民が年々増加していることに関連する。魚沼地域においても、外国人花嫁や外国人児童・生徒など、日本語学習支援の必要な外国人住民の問題が表面化しつつある。最近、外国人花嫁を迎えた家族が町役場に地域の「日本語教室」の有無を問い合わせ、夢っくすを紹介されるというケースがでてきた。夢っくすが留学生交流で蓄積した人材やノウハウは、外国人住民への生活支援を求められる行政にとって、貴重なリソースとなろう。従って、行政と夢っくすとの連携は、近い将来より具体的になるものと予想される。

夢っくすの事例は、大学と地域が協力して留学生支援の枠組みを作ったことに意義がある。留学生交流と多文化共生の地域づくりにプラスして、魅力ある教育プログラムへと留学生交流を展開することができるかどうか。小さな町の小さな大学で模索が始まっている。



脚注
1. 1983年8月に発表された「21世紀への留学生政策に関する提言」で、高等教育レベルでの教育、研究分野における国際理解、国際協調の推進、途上国の人材育成協力等の観点から初めて打ち出された総合的な留学生政策の通称。この中で、21世紀初頭に留学生数をフランス並みの10万人にするという数値目標を掲げた。
2. 夢っくすは、留学生交流を地域づくりへと発展させることを構想し、設立の段階から大学と地域、そして行政が協力連携していることが特徴である。http://umex.ne.jp。
3. 国際大学のMBAプログラムは、The Economist Intelligence Unit社による2004年度グローバル・ビジネス・スクール・ランキングで日本のMBAプログラムとしてはじめて82位にランクされ、国際大学の国際的評価を裏づけた。
4. 東京大学相関社会科学研究室が平成12年(2000年)4月から平成14年(2002年)3月まで、グローバリゼーションと地域変容をテーマに新潟県大和町で実施した調査報告書(2003年3月刊行)。同研究室の中西徹教授が国際大学に勤務していた縁で、大和町ならびに国際大学が調査対象となった。
5. 前掲書、114-124頁
6. スポンサーは(財)中島国際交流財団、事業名「新潟県魚沼地区における地域と留学生の交流支援体制整備事業」。平成13年度から15年度の3年継続事業として採択され、3年間で1500万円の助成金交付を受けた。
7. JAFSA(国際教育交流協議会)は、1968年に大学等の留学生担当教職員の研究会をベースに発足した団体で、日本の国際教育交流担当者の専門性を高め、その連携と当該分野のスペシャリストの育成を行い、日本の国際教育交流分野の質と水準の向上を目的としている。平成15年(2003年)9月現在の会員数は、団体会員171、賛助会員7、個人会員416名、学生会員24名。会長は日本大学総長・P在幸安氏。
8. 1993年(平成5年)に刊行された総務庁行政監察局編『留学生10万人を目指して−留学生受入対策の現状と課題』のなかで総務庁は、留学生の日本理解を深めると同時に、地域住民の国際交流への関心を高めるため、地域における官民一体となった留学生受入体制の整備を勧告した。
9. 2003年8月23日〜24日、国際協力事業団・東京国際センターを会場に、国際協力銀行、国際協力事業団、国際交流基金、(財)自治体国際化協会が協力し、実行委員会方式によるはじめての全国会議。
10.会員は希望により次の6つの部会(サロン部会、多言語部会、研修部会、イベント部会、広報部会、事業部会)に所属することができ、14名の運営委員が各部会を分担している。

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