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水の星の小さな町のひとつの実験

国際大学教授 渡辺慎一
「水の星」
茨木のり子の「よりかからず」という詩集の中に「水の星」という詩がある。彼女はその中で地球を「宇宙の漆黒の闇の中を ひっそり廻る水の星」と呼んだ。

そして、「生まれてこのかた なにに一番驚いたかと言えば 水一滴もこぼさずに廻る地球を 外からパチリと写した一枚の写真 こういうところに棲んでいましたか これを見なかった昔のひととは 線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに みんなわりあいぼんやりとしている」と宇宙に浮かぶ地球の姿とそこに棲む我々の姿を描いている。

この水の星のアフリカの辺りで徐々に進化していった人類が、数十万年かけて水の星のあちらこちらに散らばり、散らばった先のさまざまな環境に適応して独自の身体的な特徴や言語や文化や社会、また、政治や経済の仕組みを発展させてきた。もちろん、独自な仕方で発展してきたそれらのかけがえのない文化や社会は孤立していたわけではなく、たったひとつの水の星の上で、いろいろな仕方で互いに影響を与え合ってきた。
「水の星」で共に生きる
その多様な文化や社会が、ここ数十年、かつてなかったような規模と仕方で相互作用を起こし、ニュースやら身の回りの出来事を通して、「わりとぼんやりしている」我々でも、ひとつの水の星で共に生きるということの意味について、共に生きるその仕方について、あれこれ考え直してみる必要がありそうだなと思う機会がめっきり増えてきた。

富んだ国と貧しい国があり、どちらにも富んだ人々と貧しい人々がいる。食べ過ぎて困っている人と、食べ物がなくて困っている人がいる。爆撃や地雷で死んでしまう子供もいれば、退屈まぎれにコンピュータの戦争ゲームに興じている子供もいる。メーテルリンクの「青い鳥」にこれから生まれてくる赤ちゃんの国がある。その赤ちゃんは、だれもがどんな両親のもとに生まれ、どのような暮らしをして、どれだけ生きられるかを知っている。メーテルリンクの赤ちゃんの国では、近年、どれだけの赤ちゃんが生まれるのを楽しみにしているだろうか。あまりにも大勢の赤ちゃんが生まれるのを嫌がって困っているのではないだろうか。
国際開発プログラムの目指すもの
僕が働いている国際開発プログラムの一番大事な課題は、貧しい国が抱えているさまざまな問題を、それらの国から来た学生と共に考え、その解決策を探ることである。もちろん貧しさがすべてというわけではないが、貧しさゆえに避けて通ることのできない多くの問題が存在し、しかもどの問題をとってもどのようにしたら最も効果的にその問題を解くことができるのか、ただひとつの正解があるわけではない。そういう状況では、唯一の正解が存在するという信仰は、むしろ一般的に知られた解決策への過度な依存を生み、問題の全体像を明らかにし、その解決策を発見するためのさまざまな試みをつぶしてしまう。

アジア危機で、IMFが果たした役割はそのようなものであった。時にワシントン・コンセンサスと呼ばれる解決策に対するIMFの過信が、アジア危機の全体像を見誤らせ、より有効な解決策を発見するための試みを押し流してしまった。

国際開発プログラムが目指しているのは、学生が途上国のひとつひとつが直面している問題の多面性、多元性、歴史性を評価し、それに見合った解決策を探ることができるような力を身に付けることを助けることである。そのために、最も役立っているのは、ひとつのキャンパスに40近い国から学生が集い、共に学んでいるという事実であろう。学生のそれぞれが異なった文化や価値観をもっているという事実は、問題の多面性を発見するのに役に立つ。問題の多面性を認識することは、より有効な解決策を発見するのに役立つ。僕を含めたプログラムの教員が常に心を砕いているのは、どのような学習と研究の場を作ったら学生がお互いからより多くを学べことができるかという問題である。
大和町で学ぶことの意味
もちろん、この問題にも唯一の正解があるわけではない。しかし、どのようにしたらより良い学習と研究の場を作り上げることができるか、さまざまな実験をカリキュラムの上で試してきた。カリキュラムはプログラムの核であり、少しもゆるがせにできない。しかし、国際開発プログラムが作り上げてきたカリキュラムは、まだ、いくつかの重要な点で極めて不十分である。

40近い国から学生を集め、共に学び研究する場を作るということだけであるなら、アメリカやイギリスでも類似したプログラムを作ることは十分可能であり、代替可能であり、恐らく、ある意味で国際大学の国際開発プログラムより優れたプログラムがすでに存在する。それにもかかわらず、もし国際大学の国際開発プログラムにその存在意味があるとしたら、アメリカやイギリスの大学に真似ができないくらい、その学習と研究の場を、途上国の直面する問題の多面性、多元性、歴史性を不断に考え、思い起こし、それに見合った解決策を発見するのに有効な場にできたときであろう。

そのようなことができるだろうか。わからない。しかし、ひとつだけ可能性はある、と思う。それは、学習と研究の場が、日本にあるという事実、また、日本の中でも、東京や京都や大阪ではなく、新潟にあり、魚沼にあり、大和町にあるという事実を、十分にプログラムの中に取り入れることができたときである、そう思う。
「夢っくす」への期待
それでは、どうしたら、それが可能か。わからない。いろいろ試してみるよりない。例えば、教材を作る場合、日本というレベルですらなかなか骨が折れる。学生が日本語を読めないためである。地域に根ざした教材となればより難しい。

「夢っくす」のような仕組みも、学生がその視野を広げ、経済発展の多面性や多元性を考えることを助けるに違いない。学生が地域と接点を持ち、地域の問題を、自分の国の問題との関連で考えることができれば、更に良い。もし「夢っくす」を通して、学生が地域の小学校や中学校の社会科や地理や歴史の教材作りに貢献できたら素晴らしいとも思う。

日本語という社会環境の中で英語によるプログラムを運営していくという事実を国際大学の強みに転化できたとき、国際大学はアメリカやイギリスの大学では代替することのできない、日本が世界に提供する素晴らしい国際公共財になることができる。そのためには、大学と地域の連携のさまざまな試みを蓄積していくことがなによりも重要である。「夢っくす」の実験とその経験は国際大学の将来にとって極めて貴重な資産になろう。

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